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特定業務従事者への健康診断を実施していますか?

こんにちは。SRコンサルティング部の三浦です。

今回のコラム記事は、意外と見落としがちな特定業務従事者への健康診断について解説します。
法令等で、企業は従業員に対して医師の健康診断を実施し、従業員は健康診断を受けなければならないと定められています。
健康診断は大きくは「一般健康診断(定期健康診断など)」と「特殊健康診断(有害業務が対象)」の2つに分けられ、それぞれに健康診断の種類があります。
本コラムでは一般健康診断に含まれる「特定業務従事者の健康診断(22時以降の残業含む)」についてお伝えします。

【特定業務従事者の健康診断とは】
特定業務に携わる従業員に対しては、年1回の定期健康診断とは別に、6か月以内ごとに1回の健康診断の実施が必要です。
これを「特定業務従事者の健康診断」といいます。
6か月以内に1回ですが、健診項目が定期健康診断と同じであり、定期健康診断と合わせて実施ができるため、実際のところは年2回の実施になります。
また定期健康診断と同じように、実施後には本人へ結果を通知し、結果は企業内で保管しておかなければなりません。
なお特定業務従事者の健康診断の未実施や、従業員へ健康診断の結果を通知していない、健康診断の結果を保管していないときは、法令等でそれぞれ50万円以下の罰則が課せられる可能性もあります。

◆一般健康診断の項目◆

定期健康診断(安衛則第44条)
1  既往歴及び業務歴の調査
2  自覚症状及び他覚症状の有無の検査
3  身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査
4  胸部エックス線検査及び喀痰検査
5  血圧の測定
6  貧血検査(血色素量及び赤血球数)
7  肝機能検査
8  血中脂質検査
9  血糖検査
10 尿検査
11 心電図検査

参考:厚生労働省『労働安全衛生法に基づく健康診断を実施しましょう』
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000103900.pdf

【特定業務とは】
特定業務は法令等で定められており、従業員が携わる業務や業務中に扱う有機溶剤等によって対象になるかどうかが決まります。
企業の業種で判断されるわけではありません。
特定業務の中には「深夜業を含む業務」が含まれており、これは所定労働時間に22時~5時の時間帯を含んでいるかだけではなく、残業で22時以降に勤務した日も含まれます。
健康診断が必要になるのは、特定業務従事者の健康診断実施日前に1週に1回以上、または平均して月4回以上の深夜業があるときです。
業種問わず対象になる可能性があります。

【対象となる特定業務】
イ 多量の高熱物体を取り扱う業務及び著しく暑熱な場所における業務
ロ 多量の低温物体を取り扱う業務及び著しく寒冷な場所における業務
ハ ラジウム放射線、エツクス線その他の有害放射線にさらされる業務
ニ 土石、獣毛等のじんあい又は粉末を著しく飛散する場所における業務
ホ 異常気圧下における業務
ヘ さく岩機、鋲打機等の使用によって、身体に著しい振動を与える業務
ト 重量物の取扱い等重激な業務
チ ボイラー製造等強烈な騒音を発する場所における業務
リ 坑内における業務
ヌ 深夜業を含む業務
ル 水銀、砒素、黄りん、弗化水素酸、塩酸、硝酸、硫酸、青酸、か性アルカリ、石炭酸その他これらに準ずる有害物を取り扱う業務
ヲ 鉛、水銀、クロム、砒素、黄りん、弗化水素、塩素、塩酸、硝酸、亜硫酸、硫酸、一酸化炭素、二硫化炭素、青酸、ベンゼン、
  アニリンその他これらに準ずる有害物のガス、蒸気又は粉じんを発散する場所における業務
ワ 病原体によって汚染のおそれが著しい業務
カ その他厚生労働大臣が定める業務

参考:厚生労働省『労働安全衛生法に基づく健康診断を実施しましょう』
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000103900.pdf

【特定業務従事者の健康診断の実施後の措置】
特定業務従事者の健康診断実施後に企業が行わなれければならない措置は以下になります。
1 健康診断個人票へ記載
健康診断個人票は健康診断の結果を個人ごとに記録する書類で、法令等で作成が義務付けられています。
2 医師等への意見聴取
特定業務従事者の健康診断で異常所見があると診断された従業員については、医師へ就業に関する意見を聞く必要があります。
3 健康を保持するために必要な措置
医師より就業に関する措置が必要と診断されたときは、診断内容に応じて就業場所や職務の変更、労働時間の短縮(時間外・休日労働の禁止、就業時間の制限など)、深夜業の回数削減などを行います。

【まとめ】
深夜業が「特定業務従事者」に含まれる理由は、通常の生活リズムとは異なる状態で労働することから、心身の調子を崩しやすいと判断されるためです。
深夜労働の時間帯に働くと、概日リズムに反するため、睡眠障害、生活習慣病、自立神経の乱れなどの健康リスクが高まるとされています。
また、残業が深夜に及んだ場合にも注意しましょう。特に、長時間労働が常態化している従業員は、心身に故障を来たす恐れもあります。
深夜労働や残業時間を適切に管理し、従業員の体調管理に努めましょう。

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