遺言について(前半)
こんにちは。ライフコンサルティング部の加藤です。
ライフコンサルティング部は東京都千代田区の市ヶ谷で相続・遺言に関するトータルサポートを行っております。
ここからは、最近の法改正により注目度も増している「遺言書」について前半、後半の2回に分けて触れていきます。
◆「遺言」とは
遺言は、自分の大切な財産を、有意義に活用してもらうために行う遺言者の意思表示であり、相続を巡る争いを防止することに有用です。法律で定められている「遺言」は何種類かありますが、そのうち現実に作成されているものの大半は、「自筆証書遺言」又は「公正証書遺言」です。
◆「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の作成方法
自筆証書遺言は、自ら遺言内容の全文・日付を書き、署名捺印をして作成するものです。従来は財産内容を含む全文を必ず自筆で書くことが要求されていましたが、法改正により平成31年1月13日以降、財産の目録部分は、パソコン等で作成したものや通帳の写しを添付する方法も認められています。
公正証書遺言は、遺言者の依頼により、その面前で公証人が作成する遺言です。財産の分け方等遺言の内容は、遺言者本人が決定しますが、文面作成は公証人が行います。その文面に、証人2名が立ち会いの上、当事者が署名捺印して完成します。
◆「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の長所・短所
自筆証書遺言は、満15歳以上の判断能力を有する人で、自書ができればいつでも書けるという手軽さが長所です。自分一人で書けるため、書くこと自体に費用はかかりません。
一方で、法定の形式を欠く遺言は無効となってしまったり、内容があいまいであるがために後日の相続争いにつながりかねない等の短所があります。
適法に書いた遺言も紛失・不発見・改ざん等のリスクがあったり、遺言者の死後には、相続人等が家庭裁判所で「検認」という手続きを受けなければいけないという点も注意が必要です。
公正証書遺言は、公証人が作成するため、方式の不備のおそれはまずなく、法律的に見て整理された内容の遺言となります。自筆証書遺言と比べて、確実な遺言方法であるといえます。また、先ほど述べました家庭裁判所の検認が不要である点も大きな利点です。
ただ、やはり公証人に依頼することによる、作成時の出費や証人の手配の必要性から敷居が高いと感じられる方も多いようです。
なお、自筆証書遺言については、検認が必要であること等の短所を補う制度として、「自筆証書遺言書保管制度」が今年7月に新たに設けられました。次回はこの制度についてもご説明していきます。