贈与税の各種特例について
令和2年分の所得税確定申告の期間も終わり、申告され皆様は、ひと段落されたのではないでしょうか。
なかには所得税に限らず、贈与税の申告をされた方もいらっしゃると思います。
贈与税は110万円までは税金がかからないというメリットがありますが、
この基礎控除以外にも、以下のような非課税枠が設けられています。
1住宅取得資金の非課税
2教育資金の非課税
3結婚・子育て資金の非課税
今回は令和3年度税制改正とあわせて各種特例について整理してみましたので、みなさまも
改めてご参考にしてください。
1住宅取得資金の非課税
【制度の概要】 受贈者が自己居住のための住宅用家屋の新築等に充てるための金銭を、贈与者からの贈与によって取得した場合、一定の要件を満たせば非課税限度額までの金額の贈与税が非課税になる制度です。
【要件】
受贈者 ・・・ 直系卑属である20歳以上の子・孫等で、贈与を受けた年分の合計所得金額が2,000万以下であること
贈与者 ・・・ 直系尊属である父母・祖父母等
手続き ・・・ 贈与税の申告書及び添付書類を申告期限内に提出すること。
その他 ・・・ 取得する家屋は親族等からの取得でないこと
贈与を受けた翌年3月15日までに家屋を取得、増改築等をすること
贈与を受けた翌年3月15日までにその家屋に居住すること
非課税限度額は以下のとおりです。(令和3年4月以降、改正後の金額)
耐震・省エネ等住宅、かつ、消費税率10%の場合 ・・・ 1,500万円
耐震・省エネ住宅以外、かつ、消費税率10%の場合 ・・・ 1,000万円
耐震・省エネ等住宅、かつ、消費税率8%の場合 ・・・ 1,000万円
耐震・省エネ住宅以外、かつ、消費税率8%の場合 ・・・ 500万円
【注意点】
家屋の新築又は取得の場合、以下の要件があります(令和3年改正後)
・床面積が40㎡以上240㎡以下で、かつ2分の1以上が居住の用に使用するもの
・取得の日以前20年以内(耐火建築物の場合は25年以内)に建築されたもの、又は耐震基準適合証明書等、地震に対する安全性基準に適合することが証明されたもの。
増改築の場合の要件も以下のとおりです。
・床面積が40㎡以上240㎡以下で、かつ2分の1以上が居住の用に使用するもの
・一定の工事に該当することを確認済証の写し、検査済証の写し等で証明されたもの
・増改築費用が100万円以上であること
2 教育資金の非課税について
【制度の概要】 受贈者が教育資金に充てるために、贈与者から贈与を受ける場合、最大1,500万円までが非課税となる制度のことです。
【要件】
受贈者 ・・・ 直系卑属である30歳までの子・孫等
贈与者 ・・・ 直系尊属である父母・祖父母等
手続き ・・・ 金融機関との教育資金管理契約に基づいて受贈者名義の口座に預入
金融機関を経由して税務署に「教育資金非課税申告書を提出する
【注意点】
- 契約期間中に贈与者が死亡した場合は、「贈与された金額(非課税拠出金額)」から「教育資金支出額」を差し引いた金額(管理残額)に対して相続税が課税されます。
例外(相続税が課税されない場合)
・23歳未満である場合
・学校に在籍している場合
・教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練を受講している場合
- 受贈者が30歳に達した場合に管理残高があるときは、その残高は30歳に達した時に贈与があったこととされます。
例外(課税されない場合)
・30歳に達した時に現に学校等に在籍している場合には、最長40歳まで延長されます。
【令和3年の主な改正点】
・令和5年3月31日まで延長となりました。
・相続人でない孫は相続税の2割加算の対象になります。
3 結婚・子育て資金の非課税について
【制度の概要】 受贈者が結婚・子育て資金に充てるために、贈与者から贈与を受ける場合、最大1,000万円までが非課税となる制度のことです。
【要件】
受贈者 ・・・ 直系卑属である20~50歳までの子・孫等
贈与者 ・・・ 直系尊属である父母・祖父母等
手続き ・・・ 金融機関との契約に基づいて受贈者名義の口座に預入
金融機関を経由して税務署に「結婚・子育て資金非課税申告書」を提出する
【注意点】
- 契約期間中に贈与者が死亡した場合は、「贈与された金額(非課税拠出金額)」から「結婚・子育て資金支出額」を差し引いた金額(管理残額)に対して相続税が課税されます。
- 受贈者が50歳に達した場合に管理残高があるときは、その残高は50歳に達した時に贈与があったこととされます。
【令和3年改正点】
・令和5年3月31日まで延長となりました。
・相続人でない孫は相続税の2割加算の対象になります。
以上、年齢制限等の各種要件がありますが、今回の改正で適用期限が延長されましたので
一度検討してみるのもいいかと思います。
実際に贈与税の非課税制度をご検討される場合は、要件を満たしているかの確認が
重要となります。
あやふやな知識で処理してしまうと、後日税務調査の対象となった場合には、追徴課税されてしまうリスクもあります。
是非私たちOAG税理士法人に事前にご相談ください。
https://oag-os.com/magazine_category/mag_as/
参考資料
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/sozoku-zoyo/201304/pdf/01.pdf
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/sozoku-zoyo/201504/pdf/01.pd