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【7月10日まで】社会保険の定時決定の届出について

 

こんにちは、OAG社会保険労務士法人の三浦です。

今回は、社会保険の定時決定(算定基礎)の届出についてお話ししたいと思います。

 

社会保険料は、賃金に見合うよう計算されています。しかし賃金に変動があると、実際の賃金と社会保険料の基準となる標準報酬月額に大きな差が出ることがあります。そのため、1年に1見直しを行い、賃金にあった標準報酬月額を決める必要があります。

2024年の届出期限は、710日(水)です。

提出方法や届出様式に変更はありません。今回の記事では、定時決定の基礎知識である対象者や標準報酬月額の決定方法について、改めてお伝えします。

 

【定時決定の対象者】

71日時点で在籍している社会保険の被保険者および70歳以上被用者が対象になりますが、随時改定対象者など対象外となる方もいます。

定時決定の対象者は以下のURLから確認できます。

 

参考|日本年金機構『8月、9月の随時改定予定者にかかる算定基礎届の提出について』

ttps://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo/hoshu/20190531.html

 

【標準報酬月額の決定方法】

定時決定は、支給月をベースに届出するため、実際に456月に賃金が支払われた月の賃金台帳や出勤簿を準備します。

 

(例)20日締め/当月末日払い

賃金台帳:420日締430日支払分/520日締531日支払分/620日締630日支払分

出勤簿:321日~420日分/421日~520日分/521日~620日分

 

(例)末日締め/翌月15日払い

賃金台帳:3月末日締415日支払分/4月末日締515日支払分/5月末日締615日支払分

出勤簿:31日~331日分/41日~430日分/51日~531日分

 

そして、毎年456月に支給する3か月間の賃金総額を合計した額(以下、報酬総額といいます)に対し、対象とした月数「32または1)」で除した額を報酬月額として日本年金機構へ届出します。

届出された報酬月額をもとに、健康保険・厚生年金保険の保険料額表に沿って標準報酬月額が決定されます。

なお、算出した報酬月額に小数点以下の端数が出た場合は、1円未満は切り捨てます。

報酬月額を一定の範囲ごとに区分して標準報酬月額が決まるため、端数処理の誤りがあると標準報酬月額に影響が出る可能性もあるため、注意が必要です。

 

【報酬月額の対象となる月とは】

報酬月額の対象となるのは、456月に支給された賃金の支払対象となる日数(以下、支払基礎日数といいます)が1か月に17日以上ある月です。

支払基礎日数は、給与形態によってカウント方法が異なります。

 

<月給制、週給制>

支払基礎日数は、公休日を含めて「暦日数」をカウントします。

休日に出勤した日、年次有給休暇、会社都合の休業日も含みます。

なお、欠勤控除するときは、所定労働日数から欠勤控除した日数を除いた日数です。

 

<時給制、日給制>

支払基礎日数は、「実際の出勤日数」をカウントします。

休日に出勤した日、年次有給休暇、会社都合の休業日も含みます。

パートタイマーなどの短時間就労者は、17日以上の支払基礎日数が1か月もないときは、支払基礎日数が1516日の月のみ報酬総額とします。

 

特定適用事業所(厚生年金保険の被保険者数が101人以上)の短時間労働者は、支払基礎日数が11日以上の月を報酬総額とします。

 

【報酬の対象となる賃金とは】

報酬の対象となる賃金は、給料、俸給、手当、賞与などの名称を問わず、労働の対償として受けるすべてのものを含みます。

また、金銭(通貨)に限らず、通勤定期券、食事、住宅など現物で支給されるものも報酬に含まれます。ただし、臨時に受けるものや、年3回以下支給の賞与などは、報酬に含みません。

 

【ケースごとの標準報酬月額の算出方法】

定時決定には、雇用形態や勤務状況に応じたさまざまな標準報酬月額の決定方法があります。多くの企業で発生する基本的な決定方法をご紹介します。

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1 一般的な被保険者のとき

2 短時間就労者(パート・アルバイトなど)のとき

3 賃金計算期間の途中から資格取得したとき

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1 一般的な被保険者のとき

報酬総額に含める賃金は、支払基礎日数が1か月に17日以上ある月の賃金です。

月給制であれば支払基礎日数は「暦日数」としますが、月給者で欠勤控除するときは、所定労働日数から欠勤控除した日数を除いた日数となります。

 

【すべてが17日以上ある】

対象となる賃金計算期間中の支払基礎日数が3か月すべて17日以上の場合は、4月、5月、6月の3か月が報酬総額の対象になります。

 

17日未満の月がある】

対象となる賃金計算期間中に欠勤控除となる日が多く、支払基礎日数に17日未満の月がある場合は、支払基礎日数が17日以上の月を報酬総額の対象とします。

 

【すべてが17日未満である】

4、56月のいずれも支払基礎日数が17日未満の場合や、病気等による欠勤、育児休業や介護休業等により賃金の支払いがまったくない場合は、従前の標準報酬月額で決定されます。

従前の標準報酬月額で決定される場合、算定基礎届の「備考」の欄に一般的な方法では算定できない理由を記載してください。

 

2 短時間就労者(パート・アルバイトなど)のとき

短時間就労者とは、正社員に比べて短い時間で働く人のことです。パート・アルバイト、契約社員、嘱託社員など名称を問わず、週の所定労働時間および月の所定労働日数が、正社員と比べて4分の3以上の被保険者です。

短時間就労者のときは算定基礎届の備考欄「7.パート」を〇で囲みます。

短時間就労者の支払基礎日数が3か月すべて17日以上の場合のときは、一般的な被保険者のケースと同じく3か月が報酬総額の対象となります。

また、4月、5月、6月の3か月のうち17日未満の月があるときは、算定方法が3パターンあるため以下を確認してください。

 

【17日以上の月が1か月以上ある】

短時間就労者で支払基礎日数が17日以上の月が1か月以上あるときは、支払基礎日数が17日以上の月を報酬総額の対象とします。

 

【すべてが17日未満である】

短時間就労者で、4月、5月、6月すべての支払基礎日数が17日未満のときは、支払基礎日数が15日、16日の月を報酬総額の対象とします。

 

【すべてが15日未満である】

短時間就労者で、4月、5月、6月すべての支払基礎日数が15日未満のときは、4月、5月、6月の報酬総額で算定せず、従前の標準報酬月額で決定されます。

従前の標準報酬月額で決定される場合、一般的な被保険者の【すべてが17日未満である】ケースと同じく算定基礎届の「備考」の欄に一般的な方法では算定できない理由を記載してください。

 

3 賃金計算期間の途中から資格取得したとき

4月1日に入社するなど企業の給与締め日・支払日によっては、賃金計算期間の途中から資格取得することにより対象となる月の1か月分の賃金が支給されないことがあります。その場合、1か月分の賃金が支給されない月を除いた月を対象とし報酬総額を算出します。報酬総額は、1か月分の賃金が確保された月から対象となります。

5月分の賃金は日割計算になり、1か月の賃金が支給されないため、4月、5月を除いた6月のみの賃金総額で報酬月額を算出し修正平均として使用します。

修正平均とは、4月から6月のあいだに支払われた賃金で計算すると高い標準報酬月額になったり、反対に、低い標準報酬月額で計算されてしまったりということが起こるため、それらを調整することをいいます。

この修正平均を使用した場合、算定基礎届の「備考」の欄に、必ず修正平均の内容を記載しなければなりません。

今回ご紹介したケース以外にも、特定適用事業所の短時間労働者や社会保険適用促進手当を支給している場合など、さまざまな標準報酬月額の決定方法があります。

必要に応じて、下記を参照してください。

参考|日本年金機構『算定基礎届の記入・提出ガイドブック 令和6年度』https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo/hoshu/20121017.files/santei.guide.book.pdf

 

【まとめ】

定時決定は、毎年決まった時期に必ず行う手続です。

届出期間は71日から710日と短いため、6月支給の賃金が確定したら手続準備を進めてください。日本年金機構では、定時決定の流れについての動画も提供しています。ぜひ参考にしてください。

参考|日本年金機構『令和6年度 算定基礎届事務説明』https://www.nenkin.go.jp/service/doga/doga_kounen/santeisetsumei.html

 

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