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在宅勤務に係る費用負担等に関する給与課税

在宅勤務に係る費用負担等に関する給与課税

 

こんにちは。アカウンティングサービス部の鈴木です。

 

新型コロナウイルスの影響を受け、新たな働き方の制度としてテレワークを導入する企業が

増加してます。

そして、導入した企業の中には【在宅勤務手当】や、【在宅勤務に要した費用等を従業員に

支給】などを既に行っている企業や、検討している企業もあるかと思います。

人事労務を担当される方の中には、どれが給与課税されるものなのか、または、非課税なのか、

お悩みの方も多いのではないでしょうか。

 

今回のコラムでは20215月に更新された国税庁の「在宅勤務に係る費用負担等に関する

FAQ」をもとに、在宅勤務手当等の取り扱いについてご紹介します。

 

【1】在宅勤務手当

 在宅勤務手当とは、在宅勤務やテレワークに要した費用などを補填する目的として支給

   する手当のことです。

 ・給与課税となるケース

   在宅勤務等に要した費用に関係なく定額で在宅勤務手当を支給したとき。

  ・給与課税とならないケース

   在宅勤務等に要した費用分(実費相当額を精算する方法により算出された分)を在宅

   勤務手当として支給したとき

   ※精算方法の詳細については、【4】をご覧ください。

 

【2】在宅勤務に係る事務用品や環境整備品等の支給

 パソコンなどの事務用品や在宅勤務用の机や椅子などの環境整備に関する物品については

 次のようになります。

  ・給与課税となるケース

   現物支給または、購入代金を金銭支給したとき。

  ・給与課税とならないケース

   企業が購入した備品などを従業員に貸し出す場合や、購入代金を従業員に支給し、業務に

   使用しなくなったときに企業へ購入品を返却させる場合は、『貸与』とみなします。

【3】在宅勤務に係る消耗品等の購入費用の支給

 在宅勤務のために通常必要な消耗品等(消毒液、マスク、せっけんなど)については次の

 ようになります。

  ・給与課税となるケース

   在宅勤務には関係なく使用するマスク等の消耗品費や、従業員の家族などの従業員以外の

   者を対象に支給するもの。

   ・給与課税とならないケース

   購入に係る領収書等を企業に提出してその購入費用を精算する方法を採用しているとき。

  (現物支給も同様となります。)

   ※精算方法の詳細については、【4】をご覧ください

 

  

【4】業務使用部分の精算方法

 業務使用分を在宅勤務手当等で支給する場合、給与課税する必要はありません。消耗品等の

 購入については領収書等により業務使用分を精算することが容易ですが、電気代や通信費な

 どを私用分と業務使用分で区分することは困難です。

 そこで、業務のために使用した部分の合理的に計算(または精算)する方法として、次の方法

 を国税庁が示し、この方法により算出したものを従業員に支給した場合、給与課税する必要は

 ありません。

  

 (1)消耗品等の購入について

   ①従業員が企業より仮払金として毎月定額金銭を受領し、在宅勤務に係る消耗品等の

               領収書等を企業に提出して、その購入費用を差し引いた金額(超過部分)を企業に

               返還する方法 (返還しなかった場合、精算した月に超過部分のみ給与課税対象と

               なります。)

    ②従業員が先に在宅勤務に係る消耗品を立替払いし、在宅勤務に係る消耗品等の領収

               書等を企業に提出して、その購入費用を企業から受領する方法

 

 (2)電気代の計算方法

            基本料金や電気使用料については、以下の算式により算出したものを従業員に支給

            した場合、給与課税する必要はありません。

 

   ■算式

業務のために使用した基本料金や電気使用料

 

 = 

従業員が負担した1ヶ月の基本料金や電気使用料

 

  ×

業務のために使用した部屋の床面積

 

×

その従業員の1ヵ月の在宅勤務日数

 

   ×

     1/2  

自宅の床面積

該当月の日数

 

 

 

 (3)通信費の計算方法

    通話代や基本使用料、ネット代については、以下の算式により算出したものを従業員に

           支給した場合、給与課税する必要はありません。

 

   ■算式

業務のために使用した基本料金や通信料等

 

 =

従業員が負担した1ヶ月の基本料金や通信料等

 

  ×

その従業員の1ヵ月の在宅勤務日数

 

   ×

     

  1/2

該当月の日数

 

 

          ※( 2)、(3)について、指定された算式によらずに、より精緻な方法で業務使用分の金額を

    算出し、その金額を 企業従業員に支給している場合も、非課税となります。

  

【5】在宅勤務者に対する食券の支給

      まず企業が従業員に【食事の支給】をする場合に、その従業員から実際に徴収している

        対価の額がその食事の価額の50%相当額以上であり、かつ、企業の負担額

       (食事の価額 - 従業員から徴収している額)が 月額3,500円(税抜)を超えないときは、

       その従業員が食事の支給により受ける経済的利益はないものと取り扱うこと(非課税)と

  しています。(所得税基本通達36-382

 

        ※【食費の補助】(現金支給)については、給与とみなされ、給与課税となります。

 

 

      食券は、以下のポイントを抑えることにより、所得税基本通達36-382に該当する

       【食事の支給】と同取扱いになり、給与課税の対象外(非課税)となります。

        ①交付する食券の価額の50%相当額以上を交付した従業員から徴収すること。

 

        ②食券の利用は、従業員が在宅勤務を行う日において、企業が指定した飲食店での飲食

   又はテイクアウトでのみ利用可能にすること。

        (在宅勤務日以外の利用や、アルコール類、飲食料品以外のものへの利用は不可にする

    こと。)

 

       ③食券の利用は、従業員本人の食事代のみ利用可能にすること。

        (従業員の家族等のための利用や食券を他人へ譲渡することを禁止すること。)

 

       ④食券の利用は、例えば12,500円までとし、実際要した食事代金が食券の額面に

   満たさない場合でも、釣銭を受け取ることができないようにすること。

 

       ⑤毎月交付された食券のみ使用分については、翌月以降に繰り返して使用することが

    できる。 また、食券の利用可能期間は、交付日から1年とする。

      

       ※食券の利用に係る「消費税等の額を除いた企業の負担額」の計算においては、軽減

   税率の適用(テイクアウト等)と標準税率の適用(ケータリングや外食等)を区分して

   計算する必要があります。

 

         他にもレンタルオフィスを使用した場合のレンタルオフィス代は給与課税する必要はなく、

       また、室内消毒の外部への委託費用やPCR検査費用、新型コロナウイルス感染症の感染が

  疑われる場合のホテル利用料等の支給については、条件によっては給与課税する必要がな

  くなります。

  

       今回は給与課税についてのご案内でしたが、在宅勤務手当等を導入することにより、税金や

  社会保険料、従業員の手取り額などに影響が出る可能性があります。

       導入を検討されている企業様は、企業と従業員の双方が納得できる形で導入できるよう、

      事前に従業員にも周知していきましょう。

 

       在宅勤務に係る費用負担等に関するお悩みごとやご相談がありましたら

       弊社へお気軽にお問い合わせください。お待ちいたしております。

        https://oag-os.com/account-service/

 

       参考

       https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/0020012-080.pdf

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